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『ブランドメッセージは梱包資材に宿る』「感動品質」を届けるTENTIALが、サプライチェーンマネジメントにこだわる理由

『ブランドメッセージは梱包資材に宿る』「感動品質」を届けるTENTIALが、サプライチェーンマネジメントにこだわる理由

2023/04/20

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EC(電子商取引)による購買が増えるにつれ、D2C企業も台頭が著しい。そんなD2C企業において、様々な支援パートナーが存在するが、ECカート企業や物流支援企業と比べて、パッケージの領域は緊急度が下がるため、適切なパートナーを見つけることができておらず、改善に着手できていないことが多々ある。

D2Cビジネスの宿命として、様々な商品開発を実施しLTVの最大化を狙っていく必要があるが、そのスピード感に従来型のパッケージ営業では追いつかないのが現状だ。そんなD2C領域で、うなぎ上りの成長を遂げているのがTENTIALだ。2019年のブランド創設以来、ウェルネス分野に特化したインソールやアパレル、寝具など幅広いアイテムを手掛けている。近年ではコアなファンのみならず、健康志向のビジネスパーソンにじわりとファンを広げているのだ。

なぜ、TENTIALはここまで愛されるのか? 本稿では同社SCM責任者の浅岡大貴氏をゲストに迎え、“最高の顧客体験”を追い求める哲学を紐解いていきたい。驚くべきことに、通常後回しにされがちなパッケージ領域にこそ、TENTIALイズムが宿っていたのだ。長年梱包資材のサプライヤーとして伴走してきた、shizai共同創業者兼取締役の油谷大希氏とともに、TENTIALの真髄を覗いてみよう。

株式会社TENTIAL SCM責任者  浅岡 大貴 氏

プロサッカー選手を経て自分にしかない新たなアスリート像を目指すという思いから、当時創業2年目の株式会社TENTIALに参画。営業、経営企画、財務・経理と様々な領域を経験し、2021年7月からSCM責任者に就任。


最高の顧客体験。その根底に流れるDNAこそ「感動品質」

「健康に前向きな社会を創り、人類のポテンシャルを引き出す。」をミッションに、2019年に創設されたウェルネスブランド「TENTIAL」。D2C事業に本格参入しておよそ4年になるが、売り上げは留まることを知らない。

アイテムはインソールやサンダルなどのフットケア商品にはじまり、枕、マットレスなどの寝具、疲労を軽減する素材を使用したスリープウェアなど、商品の数は約70点に及んでいる。

実際に商品が届くと、パッケージごとSNSに投稿する顧客も多い。洗練されたデザインや、外装に傷や汚れの少ない清潔な状態で届くことが、手元に届いた時の“感動”に結びついているのだろう。そうした投稿が増えることでリーチが拡大したり、ブランドの価値を体験することでコンバージョンの増大に繋がったりと、好循環を生んでいる。

ECだと、顧客はウィンドーショッピングをしたり気軽に商品を試したりできる訳ではない。リピーターを増やしたり、単価を上げるか以前に、いかに顧客に買い物を楽しんでもらうかに四苦八苦している企業が多いことだろう。

そんな中、TENTIALはどのようにしてこのような高い水準の顧客体験を実現しているのか?その要因は、徹底したサプライチェーンマネジメントにありそうだ。一般的にD2Cのサプライチェーンマネジメントと聞くと、コスト削減が目的とされることがほとんどではないだろうか。ところがTENTIALは、最高の顧客体験を届けることの延長線上に位置づけているのだ。

浅岡 TENTIALのSCMではミッションを実現するために、「感動品質を届けよう」ということを大切にしています。商品の品質にこだわることはもちろんですが、こだわり抜いて開発した最高の商品がお客様の手元に届く体験までを、ブランドの価値と捉えています。そのために、商品開発と同じぐらい、サプライチェーンマネジメントにもこだわらせていただいてます。

油谷 確かにサプライチェーンマネジメントと聞くと、いかに流通コストを抑えるかという観点が強くなりがちだと思います。けど、実はお客様の体験を作る重要なファンクションなんですね。

いくら高機能の商品を開発しても、傷やシワがついた状態で届くと、顧客が手に取った時の満足度は満点にはならないだろう。つまり、開発から配送までをワンストップで設計し、商品が顧客の元に届く瞬間までを、顧客の体験と定義しているのだ。

TENTIALの商品はアパレルから小物に雑貨にと、様々だ。そうした細かなアイテム展開に対応するために、配送箱、OPP袋、まくら測定器、アルミパウチ、紙袋、ギフトボックス等々、幅広い種類のパッケージをshizaiと共に創り上げてきた。

油谷 shizaiの中でも、おそらく一番多くの品種を作っていると思います。ブランドを立ち上げて以来、本当にそこにはこだわっていますよね。組織の規模も大きくなっているのに、ここまでミッションとサプライチェーンの位置づけをメッセージングされているのって珍しいというか、非常に素晴らしい戦略だと思っています。

浅岡 ありがとうございます。よく「感動品質」のお手本として挙げさせていただいている企業が高級ホテルのリッツ・カールトンさんなのですが、「感動品質」の解像度を高めるためにリッツ・カールトンさんの事例を題材に全社でケーススタディを行ったりもしています。そのぐらい、TENTIALでは浸透させようとしている考え方ですね。

メンバーは70人規模となり、手掛けるアイテムの幅も年々広くなっている。だが、こうしたDNAが脈々と受け継がれているのは、バリューの浸透を徹底しているからなのだ。


サプライチェーンマネジメントの最適化には「バディ」が不可欠

感動品質を届けるために、TENTIALがサプライチェーンマネジメントにこだわっていることはお分かりいただけただろうか。商品開発だけでなく、物流までもが感動品質の実現に直結していると考え、顧客が商品を手に取る瞬間を想像しながら設計しているのだ。

ここで、TENTIALの重要な考え方をもう1つ紐解いていきたい。それは、外部パートナーとの連携を密にし「バディ」と呼んでいる点だ。開発から物流までTENTIALのDNAを吹き込むために、パートナーとまるで社内のメンバーであるかのような信頼関係を構築している。

プロダクトに関しては商品開発、生産、物流、バックオフィスに関してもベンダーや広報、PRなど、あらゆる過程においてスペシャリストと協業していく。このバディという概念はTENTIALのバリューの1つになっている。

浅岡 単に業務を委託する外部業者、という関係性にならないように意識しています。フラットに専門性を持ったパートナーとして、わからないことは率直に聞いたり、共にディスカッションして良いアイデアを出し合ったり、そんな関係性が「バディ」です。例えば社内のエンジニアに開発を依頼する際も社内委託のような感じにならないように、一緒に事業/プロダクトを作り上げていくというマインドで向き合っていますね。

多数のパッケージをTENTIALと共に創り上げてきたshizaiも、バディの1つだ。もちろんTENTIALのメンバーが気さくに巻き込んでいるのは大前提だが、良きパートナーであるためにTENTIALがバディに求めることとは何だろうか。

「やっぱり腹を割って話せるかどうかだと思っています」。社外のパートナーであっても、とにかく社内のメンバーと同じ距離感でコミュニケーションを取るのが、「バディ」なのだ。浅岡氏はこのように続ける。

浅岡 お互いに信頼しあえてるかどうかかなと思います。駆け引き無しで話せているかというところは大事ですし、そうした関係性を築くためには、会話量を増やすことが重要だと思います。結局コミュニケーションなのではないかと。メールよりも、チャットのような感覚で気軽にリアルタイムで話せると業務スピードも上がりますし、考えていることの方向性にブレが少なくなる感覚はあります。

信頼関係の前提にあるのがコミュニケーションの量であることは、あらゆる人間関係においてそうだと言えるだろう。会話の総量を決定づけるのが「密度×速さ」だとすると、「速さ」はビジネスシーンにおいて重要なファクターといえる。密度はもちろんだが、特にその「速さ」を備えているのがshizaiの特徴といえるだろう。

油谷 shizaiとしても、リアルタイムに迅速な会話ができるようなマインドでいますね。お客様が何で悩んでいて、次に何をしようとしているのか、会話を重ねるとだんだん先回りしてわかってくるようになる感覚はあります。ちょっと些細な事を相談したいとか、煮詰まっていない状態でも「これどうなの?」と聞くこととか、本当に社内のメンバーと気軽にチャットしているような間柄でありたいですよね。

浅岡 そうですね。御社はいつもSlackをすぐに返してくれるので、本当にすごいです(笑)。ポンポンとテンポよく、固くならずに色々話せるところが、僕らとしてもすごく助かっています。


感動品質を届けるのは商品だけではない。ブランドイメージを梱包資材に込めよ

高いレベルの顧客体験を、バディと二人三脚で創り上げる――。これが、他の追随を許さない顧客ロイヤリティの高さの理由なのだろう。

ところで、顧客の満足度を上げるには、商品そのものの品質の高さはあらゆるブランドにとって必要なのは当然のこと。一方で、そのワンランク上の“感動”をどのように創り上げるかは、接客サービスが存在しないD2Cブランドならではの工夫の余地となるだろう。つまり、商材そのものの品質にプラスαでブランドの価値を伝える手段を考えざるを得ないのだ。

その1つとして、TENTIALは梱包資材に着目している。ブランドのメッセージを伝える、一番最初に顧客に触れる部分、という見方もできるわけだ。このことについて、浅岡氏は「梱包資材はただの包み紙ではなく、ブランドのメッセージを伝えるツールなんです」と説明する。

つまり、こういうことだ。梱包資材は絶対に顧客が触れる部分であり、リーチ100%のメディアと捉えることもできる。さらに、広告で伝えられるような文字や映像といった視覚的な要素だけではなく、素材や質感もデザインも取り込むことができるのだ。そのため、ブランドの持つイメージが顧客に伝わりやすいという特徴がある。

デジタル広告で予算を費やすよりも、よっぽど効果的な側面があるといえよう。こだわることがマストというより、そこをおろそかにするのは機会損失になりかねない。

ここに、冒頭にも出た感動品質の考え方が通底している。「お客様目線でワクワクしてもらえる、ワクワクするブランドだという印象を持ってもらえることが、“感動品質”の原点ですね」(浅岡氏)。

確かに、このような外装の役割は、多くの人が日常的に体験しているのではないだろうか。プレゼントを貰ったときの事を思い浮かべてみてほしい。高級感のあるリボン、手に取ると滑らかな質感の箱――。受け取った時に「特別な物が来た」という感覚があると、外装を開ける楽しみも増幅する。ワクワクする体験を届けるためには、顧客が最初に触れるパッケージも一役を担っているのだ。

特別な体験を届けるという視点で、TENTIALの商品をギフトに選ぶ顧客も増加しているのだという。こうした需要のために、より高い顧客体験につながるよう、ギフト包装もshizaiと共に開発している。

油谷 確かに御社の場合も、パッケージの開発は商品開発の中の1つと言っても過言ではないほど、注力されているように感じています。どういう配送方法やどういう手段で届けるかという観点から、箱や袋のデザインを考えていらっしゃるなあと思いますね。感動品質というところは1つキーワードですね。普通の箱で届くと思ったら、あのオリジナルのパッケージで来る。そこにお客様のささやかな感動があって、ブランドの評価に繋がっているように感じます。

TENTIALで取り揃えているのはアパレルだけでなく、枕のような柔らかい素材の商品など、形状も大小も様々だ。「バディ」の1つである運送事業者とも密なコミュニケーションを図り、輸送時の積み方や向きにおいても最適解を模索している。最もブランドの価値が毀損されない状態で商品が顧客の手元に届くよう、設計されているのだ。

このように、商品の価値を最大化させる配送を実現しようと、パッケージにはバディであるドライバーへのメッセージも記されている。

油谷 こういう風にお客様の商品を扱うドライバーさんに対してメッセージングするところ、本当に御社らしいなと思いましたね。

浅岡 箱が潰れないように、資材の材質を強くすることもしていますが、それも限界があるので(笑)。商品をお客様の元に最高の状態で届けられるよう、バディにも協力をお願いしています。そういう意図でメッセージを入れさせてもらっていますね。

配送の工程から、商品の価値を最大化する梱包の在り方を考えているのだ。包装が毀損されない、きれいな状態で届くことが感動品質に繋がっているといえよう。


巨大ECモールにはない価値を。一気通貫の体験を設計し、オンリーワンのD2Cブランドたれ

D2Cで高い成長率を誇るTENTIAL。その事業成長の秘密は、「最高の顧客体験」を実現するために、サプライチェーンマネジメントから実際に顧客が商品を手に取る瞬間までもを徹底的に設計している点だといえよう。

さらに見方を変えれば、梱包資材は顧客にブランドメッセージをダイレクトに伝える手段のひとつだ。ここにこだわらずにデジタル広告やSNSマーケティングに奔走しているのであれば、大きな機会損失をしていると言えるだろう。

そうしたこだわりを体現するために重視しているのが、外部パートナーである「バディ」との密で迅速なコミュニケーションであり、その細やかさ、スピード感に対応しているのがshizaiなのだ。

浅岡 サプライチェーンはいかに低コストで速く事業を推進できるかというような、効率を重視する視点は当社も意識しているのでとても重要ポイントではあると考えているのですが、でも、その中で、ブランドのエッセンスを入れていく余地はありますし、むしろそういう部分で競合優位性を作ることができると考えています。

たとえばアマゾンのような巨大ECプラットフォームに対して、オペレーションで上回るのは現状はかなり難易度が高いです。でも、いかにブランドの価値を届けるか、最高の顧客体験を届けるかという部分では、まだまだ僕たちにもできることはある。そのこだわりに徹底的に伴走してくれているのがshizaiさんだと思っています。

最後までご覧いただきありがとうございます。
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