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『外装のこだわりは経営のこだわり』届いた時には一目瞭然、オペレーションの真価が問われるパッケージとは

『外装のこだわりは経営のこだわり』届いた時には一目瞭然、オペレーションの真価が問われるパッケージとは

2023/05/08

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サブスクリプションサービスと言えば音楽や動画といった無形商材に代表されていたが、有形商材のサブスクリプションサービスも急激に数を増やしている。

知育玩具のサブスクリプション・レンタルサービス『トイサブ!』を提供する株式会社トラーナは、おもちゃ領域で圧倒的なシェアを誇っている。

サブスクリプションは商品やサービスを消費者に直接届けるD2Cの一形態に過ぎないと思われがちだが、リピート率の向上、そしてその先にあるロイヤルカスタマーを増やす上で、パッケージに求められる役割はユニークなデザインによるブランディングだけに留まらない。

レンタル式であるがゆえに配送から返送までを顧客体験と定義し、最初のタッチポイントである外装について代表の志田典道氏は「外装は経営のこだわり」と話す。

オペレーションはサービスの根幹に関わるため、相応のコストは割かざるを得ない。一方で低コストながら創意に満ちた梱包で顧客体験を向上し、固定ユーザーだけでなく新しいファンを取り込み、事業成長を続けている。そんな志田氏をゲストに迎え、長年パッケージの相談に乗ってきたshizai共同創業者兼取締役の油谷大希が、「トイサブ!」が秘める外装へのこだわりに切り込んでいく。

株式会社トラーナ 代表取締役  志田 典道 氏

1983年生まれ、4児の父。大学在学中にWeb制作会社を創業。事業譲渡後、複数の外資系IT企業でエンジニア、プロダクトマネージャ等の事業経験を経て2015年に株式会社トラーナを設立。


十人のユーザーには十通りのおもちゃを。徹底的なカスタマイズを支えるオペレーションが「トイサブ!」の強み

子供の発達段階や嗜好に合ったおもちゃを、手軽に選べるサービスがあったら――。そうした子育てや教育への関心の高まりを追い風に、2015年の創業以来ファンを増やし続けているのが「トイサブ!」だ。2023年1月にはアクティブユーザーが18,000人を超え、知育玩具のサブスクリプションでは会員登録者数首位を獲得している(2022年8月、TPCマーケティングリサーチ株式会社の調査による)。

「トイサブ!」のサービスの仕組みを簡単におさらいしておこう。0歳3か月~満6歳向けのサービスで、子供の成長度合いや嗜好に合わせて知育玩具を選び、届けている。特徴は何といっても顧客解像度の高さだ。保護者は子供の年齢や好み、既に持っているおもちゃの種類を入力。それらの情報を元に、おもちゃプランナーが子供に合ったおもちゃを選定する。届いたおもちゃは2カ月間遊んで返送する流れだ。フィードバックを記入すると、新しいおもちゃが届けられる。

おもちゃの種類は、形状も大小も様々な1,800種類以上を用意している。「トイサブ!」の最大の特徴は、この顧客に合わせてカスタマイズしている点にある。驚くべきことに、消毒から箱詰めまで、全て手作業なのだ。

「トイサブ!」のサービスの根幹とも言えるカスタマイズ。これを実現するためのコストは惜しむことなく割いている。子どもが触るものだからこそ、清潔なおもちゃを届けられるよう、クリーニング方法の研修も実施している徹底ぶりだ。さらに、破損や取り違えがないか、入念に最終確認をした上で届けられるのだ。

そんな「トイサブ!」の価値を支えている秘密は、掛けるべきところにオペレーションコストを惜しみなく割いている点にあると言えよう。

しかしなぜ、志田氏はここまでオペレーションにこだわるのか?「マクドナルドのバイトを6年やっていた」という志田氏。この原体験に哲学がありそうだ。


志田 僕がお店を回すアルバイトマネージャーだった時期があって。当時の店長が、僕がシフトで入っていた時間のハンバーガーを持ってきたんですね。包装の汚れや偏りはなくて、ラッピングは完璧だと思っていたんですけど、店長に言われた言葉をすごく鮮明に覚えていて。「開けてみろ。ピクルスがずれている。このハンバーガーを食べたいと思うか?」って言われたんです。

様々な工程があると、結局それらは積み重なっていくんだと思いました。届いた瞬間からもう勝負はついています。それを考えると、サブスクリプションサービスもさっきのハンバーガーの話と一緒だと思うんです。僕らがやっているサービスも、お客様が手に取るものですよね。もちろんラッピングは大事ですが、綺麗な見た目だったとしても、箱を開けた瞬間まで気を抜いてはダメだなと。お客様に喜んでもらうために徹底してこだわりたいという思いは、さらに強くなっていると思います。

油谷 細部のこだわりが本当に素晴らしいです。同じようなサブスクレンタル系のサービスでも、こだわりたいのになかなかそこまで手が回らない会社も中にはあると思います。そんな中、お客様に向き合ってやりきる姿勢が、御社は徹底していますよね。


良くも悪くも、塵も積もれば山となる。顧客の手に直接渡るものだからこそ、届ける過程にベストパフォーマンスを尽くすのが志田氏の流儀だ。


志田 たとえば、箱のサイズもお客様のデータを元に設計しています。トラーナのお客様のような教育に関心のあるご家庭は、都市のドーナツ圏に多くいらっしゃる。2LDKとか、3LDKの集合住宅が比較的多いんです。「トイサブ!」はお送りした箱で返送もしていただくので、箱はたたみやすいことを前提に、且つインテリアを邪魔しないないようなデザインを意識しています。

油谷 面白いですね。家の中ではこうやって置いておく、というところまで顧客を起点に考えていらっしゃる。こだわりを感じます。


集まったユーザーのデータは、すでに100万件を超えている。志田氏の顧客解像度は、おもちゃを収める箱にも吹き込まれているのだ。


「外装のこだわりは経営のこだわり」shizaiでコスト削減と密なアウトプットが可能に

顧客の体験に徹底的に向き合う姿勢が、志田氏の経営のこだわりであることはお分かりいただけただろうか。オペレーションの最適化は、顧客の体験を最適化する上で必須であるということだ。

とはいえビジネスである以上は、いかに粗利を高め、いかに経費を削るかは至上命題である。トラーナはいかにして創意工夫しているのだろうか。ヒントは外装にありそうだ。


志田 経営のこだわりは、外装箱にも現れると思います。お客様に一番最初に触れる部分でありながら、コストを削ろうと思えばいくらでも削れる。そこにこだわりを持たない企業は、経営のこだわりがないと言っても過言ではないのではないでしょうか。


「外装のこだわりは経営のこだわり」。志田氏がそう断言する理由は2つある。1つは、パッケージ領域は仲介手数料が膨らみやすいからだ。サービス様式上、オペレーションコストを削るのが困難な部分が多い一方、資材は圧縮しやすい領域といえるのだ。


志田 発注側は通常、サプライヤー側のフロントの方と会話します。けど、最終的に製造を担当する一次製造業者に辿り着くまでに、仲介する業者さんが何社もあることって多いですよね。そうやって、フロントの後ろに何枚も業者さんを挟むことがあるので、結果的に中間マージンが嵩んでしまうんです。


梱包資材の発注において、包装資材の販売者と製造者との間に複数の仲介業者が存在し、多重の中間マージンが発生するケースが多い(下図)。だが、shizaiは一次製造ラインに直接リーチできるため、従来発生していた仲介コストを大幅に圧縮することが可能なのだ。

実際に、「トイサブ!」で元々利用していた段ボール制作は、仲介業者が入っており、ビジネス構造上、これ以上のコスト削減をすることができない状況だった。だが、shizaiで見積もりを出したところ、25%以上コストダウンが実現可能とわかり、リカーリングコストの改善に貢献することができた。

shizaiは一次製造ラインに直接リーチできるため、仲介コストが大幅に削減できる

もう1つが、コミュニケーションコストを抑えることができる点だ。複数の資材を使用する場合、複数の窓口と会話する必要がある。シールはこの会社、段ボールはこの会社というように、梱包資材の種類分だけ別々の会社と会話することがマストになってしまうのだ。

顧客への解像度が高ければ高いほど、サービスのPDCAは速く進んでいく。それはサービスの中身だけではなく、パッケージ領域でも一緒だ。改善点をいかにクイックに反映できるかを考えると、製造元に直接辿り着くshizaiだからこそ、迅速にアウトプットを変えられるのだ。

この密なコミュニケーションがもたらすのは、スピード感だけではない。経営レベルでのこだわりを的確に外装に落とし込めるのも、shizaiの強みといえよう。


油谷 最近ではテクノロジーが発達しているので、効率的に発注できるソフトウェアもあります。けど、やっぱりなぜ発注するのか、何を叶えたいのかという背景を会話ができて初めて、発注者にとっても納得のいく製品になるのではないかと思います。やりたいことが前提にあって、それを実現できる方法はないかという文脈で会話をしていきたいですよね。

志田 そうですね。工場の人たちにできない技術って基本的にないと思うんです。でも、通常なら僕ら発注側が会話するのは、サプライヤー側のフロントの人たちなんですね。フロントの後ろに何枚も後ろに業者さんがいると、意図が伝わりにくかったり、伝わるまでに時間がかかったりする。僕はこだわるタイプなので(笑)、shizaiはそういうこだわりに付き合ってくれるのがすごくいいですよね。


スピード感だけではなくクライアントの意図を汲み取ることが、密なコミュニケーションを取る醍醐味といえよう。いかに「作りたいものを作るか」という課題に真っ向から向き合うことに、shizaiの付加価値がありそうだ。


届く喜びのために大判シールを制作。スリットを1本に変え、オペレーションが劇的に改善

こだわりや経営理念を形にすること。それは資材にかけるコストを出来る限り下げ、顧客の満足度を最大化させること。そのソリューションを提案するのがshizaiだ。ここで、トイサブ!の包装を見てみよう。一体どのような意図が込められているのだろうか。

「トイサブ!」の梱包は、段ボールに大判シールを貼り付けているのが特徴的だ。このシールにも、志田氏の経営へのこだわりが詰まっている。ビジョンである「幸せな親子時間を増やそうぜ」を実現すべく追求しているのは、親子の体験だ。現在は1種類のシールだが、今後はシーズンで絵柄や色を変えることも検討している。こうすることで、「飽きの来ないサブスク」を目指しているのだという。


志田 サブスクだからこそ、箱がちょっと違うだけで、受ける印象が違うんじゃないかなと思うんですね。「飽きない」という体験もゆくゆくは価値のうちに入れたいと考えています。実店舗のある業態なら当たり前にやっていることなんです。場所が限られている中、お客さんに何回も来てほしいから、シーズンでSKUを変えたり売り場を変えたりしますよね。我々みたいなオンライン事業としてお店をやってるのに、僕らはやってないということに気づきました。

油谷 そうなんですよ。段ボールに印字するパターンを複数つくろうとすると、版を複数つくらなければならず、費用が高くついてしまう。仮に版を作り直したとしても、印刷のノリが変わってきますし、色校正がかなり大変になってきます。シールであれば、シーズナルで変えるのも段ボールに比べると手軽にできます。絶対シールがおすすめです。


コストは極力かけず、箱が届いた時の感動を実現したい――。そんな志田氏の理念を叶える1つの手段が、シールだった。見た目の変化を出すために、段ボールよりシールのほうが手軽に、色映りも良く仕上がるのだ。

それにしてもこのシール、かなり大きい。実はここにも志田氏のこだわりが宿る。シールは当初、別のベンダーに発注していた。大判シールによくあるように、裏にはスリット(台紙からシールを剥がすための切れ込み)を入れたものだが、そのスリットの数は当初4本で制作されていた。つまり、台紙が5枚にカットされているということだ。

ところが、これを手作業で段ボールに貼り付けていくとなると、5枚も台紙を剥がすのはどうしても手間がかかる。効率的に作業を進めるために、スリットの本数を減らせないだろうか――。そんな声がオペレーションを担当するメンバーから上がっていた。

こうした細かな仕様の変更は、ベンダーによっては対応できないこともある。相談してみたものの、その発注先ではスリットの本数を減らすことはできなかった。オペレーションの負担を下げるために、「他のところでできるところはないか」と考えていた矢先、すでに段ボールをつくっていたshizaiに相談すると、シールの提供そのものに加え、スリットも1本でつくることが可能だとわかったのだ。


志田 今って外装の入稿や注文をオンライン上で自動にできるサービスも存在しますが、こういう小さいポイントも相談したいですよね。今回の場合かなり小さい部分ですが、現場の方々はこうした細かい仕様が変わるだけでも、かなり作業への影響が変わってきます。


現場の声を吸い上げ、オペレーションを迅速に改善するために、資材の細かな仕様にもこだわる。志田氏の経営へのこだわりが如実に現れたエピソードだ。


資材のポートフォリオを広げ、経営理念を具現化するパートナーへ

志田氏の徹底したオペレーションへの信念は、梱包資材の細部にまで吹き込まれている。そのこだわりに、徹底的に寄り添うのがshizaiだ。


志田 せっかく社外のパートナーさんを巻き込んでサービスをつくるなら、がっつりと会話できるレベルまでやりたいですよね。物流の領域でも、配送会社さんとも相当会話しています。配送センターと支店の位置づけや、裏側の人の動きとトラックの動きなんていうのも結構細かく聞いて。だからここでトラブルが起きるんですね、じゃあこういう風に改善しますね、という話もしています。


綿密に会話できるからこそ、発見できることや、改善できることがある。shizaiはパッケージ領域から「トイサブ!」の成長を支えてきた。コミュニケーションを重ね資材を創り続けてきた志田氏が、shizaiに今後求めることは何だろうか。


志田 ぜひ、ポートフォリオを広げていってほしいです。今は段ボールとシールをお願いしていますが、梱包資材をトータルで考えた時に、リカーリングコストは個別で考えるとすごくちっちゃいですけど、まとめると結構大きくなるんですよね。

油谷 そうですね。僕もやっぱり、段ボールやシール、同梱物など全部トータルで志田さんのお考えが反映されるものだと思います。僕らもちょっと幅を広げながらお付き合いできるようにしたいなって。


コストの削減はもちろん、「届いた時には決まっている」というマクドナルドの原体験があったからこそ、志田氏は顧客の体験とオペレーションは密接な関係があると知っている。密なコミュニケーションで資材をつくれるようになれば、経営のこだわりを迅速に資材へ反映することができるはずだ。パッケージというツールで経営理念の具現化をサポートするのが、shizaiの価値なのだろう。

最後までご覧いただきありがとうございます。
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